• 西出 実華

「伊勢まだい」ブランドの仕掛け人 -友栄水産-


伊勢志摩国立公園の南端 リアス式の入り組んだ海岸で伊勢まだい、マハタ、クエの養殖業を営む、友栄水産 三代目 橋本純氏。今、コロナ禍でこの「伊勢まだい」の行き先が失われている。実はこの「伊勢まだい」、東日本大震災を機に生まれた三重の新しいブランド魚、漁師たちにとって思い入れの強い特別な魚だった。



東日本大震災で伊勢湾も被害、

復興のために立ち上がった三重の漁師たち


東日本大震災の津波は、遠く離れた伊勢湾まで押し寄せた。養殖用の筏(いかだ)の半数が沈み、沿岸部で育てていた真鯛が約5万匹も死んでしまった。

損失額は約1億円。


突如、生活の糧を奪われた地元の漁業関係者たちは、先行きに不安を抱えながらも、何とかこの三重の海での漁業を復活させるべく、動き出した。



「伊勢まだいプロジェクト」誕生


この時、「三重の新たなブランドを作ろう」と立ち上がったのが「伊勢まだいプロジェクト」だ。これまでの養殖マダイとは違う、三重の海ならではの「伊勢まだい」を作るという試みだ。


特徴は、三重県産の餌『海藻類』『柑橘類』『伊勢茶』


魚などの通常の餌に、三重県産の食材を混ぜ込んで作る三重県独自の餌だ。

これにより、一度鯛は痩せてしまうそうなのだが、橋本氏は「そこが伊勢まだいの最大のポイント。これによって油の質がぐっと変わり、爽やかできめの細かい油になっておいしい。」のだと言う。

当初、地元の生産者13人で取り組みを始め、1年目は2万匹、2年目は10万匹と順調に生産を拡大し、コロナ前までは30-100万匹の出荷に至るまで育ててきた。



養殖業者を再び襲ったコロナ危機


コロナが襲ったのは何も漁業関係者たちだけではない。

今、世界中どの企業も経済活動の停滞によって、大打撃を受けている。


移動制限で観光客が減り、伊勢まだいは毎月2万匹、行き場を失った。


「せっかく心を込めて育てあげた伊勢まだいを、コロナなんかでダメにしたくない。」


そう誓った橋本氏は、伊勢すえよし 料理人田中 祐樹氏と共に、コロナ発生直後からオンラインで会議を重ね、「三重の恵み」ブランドの立ち上げに協力。共に「伊勢まだいのかぶせ茶漬け」を完成させた。


三重と東京で連日深夜まで続く、zoom会議

「伊勢まだい」のおいしさを最大限に引き出したいという田中氏のこだわりから、水揚げしてから鯛を締めるまでの時間、そして、冷凍するタイミングまで、何十パターンもの試作を行い、ようやく12時間後に締め、その後瞬間冷凍する方法が最もおいしく食べられるという答えに行き着いた。


「普段ならこんな時間は取れなかったし、料理人がこだわるポイントもわかって、楽しかった」と橋本氏は言う。


最高の出来に仕上がった究極のお茶漬け「伊勢まだいのかぶせ茶漬け」

自身でも「5670(コロナゼロ)」プロジェクトを立ち上げ


橋本氏が取り組むのは、「三重の恵み」プロジェクトだけではない。自身でも「5670(コロナゼロ)」プロジェクトを立ち上げ、ポケットマルシェなどで「伊勢まだい」を消費者に直接届ける活動を4月から開始。


「これまではスーパーで切り身になった状態で売られていて、鯛という名前は知っていても、それがどういう形をしているか、どんなふうに育てられているかも知らない人が多かった。今回この取り組みをするにあたって、最初は一匹も売れへんやろな、という気持ちもあった。でも、一匹でも売れてくれて、包丁で魚をさばく人が一人でも増えてくれたら、それはひとつの希望になる、と思った。」

と橋本氏は語る。


「5670プロジェクト」は、6月の時点で、見事5670匹販売を達成した。



魚の魅力をもっと世間の人たちに伝えたい


活動的な橋本氏。そのアクティブな姿勢は、今に始まったものではない。

17年前から、養殖事業だけでなく、生きたままの魚をその場で締めて販売する鮮魚店や、漁業体験や魚さばき・干物作り・磯遊びなど、漁村体験の提供、「まるきんまる」というゲストハウスの経営とその活動の幅は広い。


全ては、「魚の魅力をもっと世間の人たちに伝えたい」という思いから。


その熱い思いが、同じ熱さを持った仲間を呼び寄せ、広がっていくのだ。

「これからも、やる気のある仲間の環をもっともっと広げていき、様々なことにしっかりと取り組んでいきたい」と橋本氏は言う。



最後に、橋本氏がお勧めする「伊勢まだい」レシピをお伺いしたところ、面白い答えが返ってきた。


「お茶漬けです。」


三重の恵みのお茶漬けとはひと味違った、漁師のお茶漬け。

鯛メインで楽しみたければ、これもオススメ!と橋本氏。


こちらのお茶漬けも、是非皆さんに試してみていただきたい。


鯛が主役の、漁師の伊勢まだい茶漬け

1.茶碗の上に鯛の刺し身を並べます。
2.沸騰したお湯を入れ、醤油とわさびを投入。
3.この上に一握りのご飯をあと乗せしたら、出来上がり。

*ご飯よりも先に鯛を入れるのがポイント。
 これにより、鯛の旨味がしっかりと出た鯛スー
 プが出来上がる。

友栄水産 HP

https://yuuei.co.jp/


★橋本氏の「伊勢まだい」を購入するには、ポケットマルシェか、橋本氏ご本人のfacebookからご連絡下さい。


ポケットマルシェ

https://poke-m.com/producers/66410?related_article_type=producer


橋本氏facebook

https://www.facebook.com/profile.php?id=100003870948862



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